ただ合図もなく戦いの火蓋は静かに落とされた。












人それぞれの思いを持って・・・・












一人は愛している人のために












一人は大切な人を守るために












一人は過去の事を引きずりながら復讐のために












一人は神の絶対的な忠誠心のために












どちらが勝つかまだ誰にもわからない

























EVANGELION〜術士の力〜





第十四話「零号機起動実験」





シュウジ

















一般人にとって、いつもと変わらない朝がやってきた。

しかし彼女にとっては大事な日。

彼女の名前は綾波レイ、ファーストチルドレンで零号機専属パイロット。

一度は起動実験を失敗し、大怪我を負ったレイにとって今日の実験は大切な日であった。

10年前からチルドレンとして教育されてきたのにも拘らず、未だに零号機の起動を成功させた事が無い。

パイロットなのに役に立っていない、という罪悪感が彼女の心に大きな負担をかけている。

もっとも自分では意識は無いようだが・・・・

「成功させなきゃ」

パイロット専用更衣室でプラグスーツに着替えたレイは、いつもの明るさは無く、自分に言い聞かせるように口ずさんだ。

更衣室を出ると、其処には居るはずの無い人物がいた。

「よ、レイ。緊張してるな」

白衣を着たキョウが壁に寄りかかり、手を軽く上げながら挨拶をする。

「なんでキョウ君がここにいるの!?

 エヴァの整備は大丈夫なの!?」

「ああ、それ?

 俺は基本的にエヴァの武器関連が専門だから良いんだよ」

実際はサボっているのだが、平然と答えた。

そのキョウの応答に、レイはキョウの嘘を信じたらしく、まるで自分の事のように安堵していた。

「それにチルドレンの精神状態を管理するのも俺の仕事だしね♪

 ほら、もっと肩をリラックスさせて」

「う、うん」

「まだ時間あるし、ちょっと話さない?

 聞きたい事もあるし。

 あ、其処のベンチでも座っててよ」

キョウはそう言って、自動販売機でジュースを二本買い、一本をレイに投げた。

レイは慌ててジュースをキャッチする。

キョウはレイの隣に座り、オレンジを一口飲んで話を始めた。

「あのさ・・・・レイは何でエヴァに乗ってるの?」

「へ?」

「だ・か・ら!何でエヴァに乗ってるの?」

キョウの質問に、レイは直ぐに答えなれなかった。

なぜ?と聞かれても、小さい頃から生活の一部であったレイにとって考えたことも無かった。

強いて言えば、お父さん、お母さんのためだった。

キョウは真剣な顔をして話を続ける。

「レイ、よく聞いてくれ、一度しか言わないから。

 命を懸けた戦いは自分を保てなきゃいけないんだ。

 死と隣り合わせの中で自分を保つことは強い意志が必要なんだ」

「強い意志?」

「そう。

 それは人によって違うけど、その人にとって命を懸けても、信念を貫く意思。

 それが無くちゃ、いつか戦場で死んでしまう」

「!!!」

「だから考えて答えを出してくれ。

 自分の信念を、いいね?」

キョウは優しく言い聞かせるようにレイに話した。

一言一言に重みがあり、心に残る言葉。

「ま、今すぐとは言わないけど、早めに答えを出すと良い。

 間違っても俺のようにならない様にね」

「キョウ君?」

レイはキョウの方を見ると其処には姿は無く、廊下を歩いているのが見えた。

レイからは見えないが、キョウは自嘲的な笑みを浮かべる。

「(そう、俺のように間違った答えを出すのはいけない)」

キョウはこれから来る、第五使徒ラミエルの気配を感じ取っていた。





























実験室にはゲンドウや冬月、ユイなど主要なメンバーがいる。

先ほどレイと話していたキョウも其処にいて、零号機をじっと見ていた。

「これより、零号機再起動実験を行うわ。

 レイ、準備は良い?」

「はい……」

リツコの優しい口調に、レイは少し緊張した声で答える。

「……」

リツコはゲンドウを見て頷く。

ゲンドウは重い口を開いた。



「第一次接続開始。」



ゲンドウがそう言うと作業員が慌しく動き始める。



「主電源コンタクト。」



「了解!」



リツコの言葉に作業員が返事をする。



「稼動電圧、臨界点を突破!」



「フォーマットをフェイズ2に移行!」



「パイロット、零号機との接続開始。」



「パルス及び、ハーモニクス正常。」



「シンクロ問題無し。」



「オールナーブリンク終了。」



「中枢神経素子に異常無し。」



「1から2590までのリストクリア。」



一つ一つ報告していくオペレーター達。



「絶対境界線まであと2.5…

 

1.7

 

1.2

 

1.0

 

0.8

 

0.6

 

0.4

 

0.3

 

0.2

 

0.1

 

ボーダーラインクリア!零号機、起動しました!」

それとともに、ほんの少しだが実験の緊張感が緩くなった。

「引き続き連動実験に入ります。」

マヤがそう言うが、それは叶わなかった。

「碇っ!未確認飛行物体がここに接近中だ、おそらく第五使徒だろう。」

連絡を受けた冬月がゲンドウにそう言った。

「テスト中断!総員第一種警戒体制!」

ゲンドウはそう指示する。

「零号機は使わないのか?」

「まだ戦闘には耐えん、初号機は?」

ゲンドウはリツコに言う。

「380秒で準備できます。」

リツコはゲンドウの質問に答えた。

ゲンドウは少し考えた後、

「レイは初号機で、フォースチルドレンは参号機で出撃だ」

と言った。

「(さて、どうするかな?)」

キョウはこれから起こる惨劇を回避するために、どうするか悩んでいた。

前回とは違うラミエルの形を見ながら・・・・・





























ラミエルの形は、前回の正八面体に近い形状だったのだが、今回はその周りに四枚の長方形の鏡が、囲むように浮いていた。

その鏡はラミエルを中心に時計回りに回っており、生物とはとても思えない。

「(また天使か・・・ふざけやがって・・・・)」

モニターに映るラミエルを見ながらエヴァに乗っている二人に話しかけた。

「いいか、前回は近接戦闘タイプ、前々回は中距離戦闘タイプだ。

 よって今回は遠距離戦闘タイプの可能性が高い」

「「・・・・・・」」

二人は何も言わずにキョウの話を聞いていた。

「何より攻撃方法がわからない、レイはバックアップ、シンイチは近接戦闘だ。

 いいか、無理はするな。今回は負けても、次で返せば良い。

 最悪なのは二人とも死ぬ事だ、という事を忘れるな」

二人は返事をせず、静かに頷いた。

「ではミサトさん、意見はありますか?」

「無いわ、準備はいい?」

ミサトは身を引き締めて二人に話しかける。

「「はい」」

二人の返事を見て、ミサトは大きな声でこの言葉を言った。

「エヴァンゲリオン、発進!!」

ミサトの合図と共に、二機のエヴァが地上に向かっていった。

「(死ぬなよ、二人共・・・)」

キョウは、心の中で二人の無事を祈っていた。

先ほど察知した、天使の気配に気を配りながら・・・・・





























その頃、ラミエルが一望できる山の山頂に、一人の少女がいた。

ラファエルと同じ、金髪に銀色の瞳をした彼女の名前はラグエル。

七大天使の一人、天使の内務監査役であるラグエルは、使徒とエヴァの戦いを見に来ていた。

「キョーちゃんは出てこないのかな〜?」

小学5年生ぐらいに見えるラグエルは、瞳を輝かせながら、ラミエルを見ていた。

「キョーちゃんに会いたいな〜〜」

ラグエルは、キョウの事を考えていたのか、少しばかり顔を赤くしている。

「・・・・それでラーちゃんはなんでここにいるの?」

「それが私の信念ですから」

先ほどまで話していたラグエルは急に口調を変え、自分の後ろにいるラファエルに話しかける。

「それに私の名前は『ミネルダ』

 ラファエルはただのコードネームに過ぎません」

「そう言うのはミーちゃんだけだよ。

 皆、そのコードネームに誇りを持っている。

 キョーちゃんにつけられた名前を大切に思っているのは」

「そういう貴方だってコードネームを嫌悪しているじゃないですか」

「天使の内務監査役は裏切り者を捜すのが任務だから嫌いなだけなの!!」

「私の事、報告しないんですか?

 裏切り者がいるって」

「今の任務はこの戦いを見届ける事だから」

「そうですか、では私はこれで」

ラファエルはそう言って風と共に消えていった。

「・・・・・・言えるわけ無いじゃん・・・・・キョーちゃんの事が好き何て聞いたら・・・・・・」

ラグエルは複雑な顔をしながら呟いた。

























後書き



さあラミエル戦が始まりました!!

ラミエルも天使の介入により進化しています。

そして!!オリキャラ、ラグエル登場!!

ラグエルの性格は精神年齢が低い幼稚キャラ?という感じです。

しかし冷たい一面も持っている、という設定です。

なんせ内務監査役ですから(笑)

よかったら感想お願いしマース。








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